嘉田 由紀子(前滋賀県知事)

 

kada今の日本社会に必須の「子育て・女性参画」「社会的事業による内発的経済発展」等を、身をもって仲間とともに実践してきた小川さんこそ、今の日本に必要な人材と強く思います。

小川さんはあの「女性管理職比率全国トップクラス」という徳島県生まれの51歳。二人の大学生のお子さんのお母さんでもあります。

1986年、岡山大学文学部を卒業後、男女雇用機会均等法施行元年に、はじめての女性総合職として大阪のアパレルメーカーに就職するも、子どもさんの出生や旦那さんの転勤でやむなく仕事を辞めて滋賀県に引越。

そこで出会った転勤族ならではの「母親の社会的孤立」や「子育てへの不安」に直面。1997年に自ら仲間を集めて子育て情報誌「びぃめ~る」を企画・発刊。

嘉田は当時琵琶湖博物館の総括学芸員をしておりましたが、ち密な取材に基づいた子育て情報満載の「びぃめ~る」に出会って大変感激しました。「誰がこれを!」と尋ねて小川さんの存在を知りました。

2002年には、「びぃめ~る」のNPO法人化に伴い理事長に就任。以来、情報紙発行、テレビ・ラジオでの情報発信、フリマ等イベント・女性のチャレンジセミナーなどの企画運営を行ってきました。

2004年には栗東駅前で「コミュニティカフェBe-cafe」オープン、2008年からは野洲の希望が丘で「森のBe-cafe」運営。

この間、小学校や中学校のPTA役員、草津市や守山市、野洲市、滋賀県の各種審議会委員を歴任。

これらの実績をみて2010年秋、嘉田は小川さんに「滋賀県をよくするために県議に挑戦してみませんか!」と無謀な誘いをし、小川さんは受験生をかかえる身ながら決意。「子どもは入試、母親は選挙に挑戦!」

2011年4月の統一地方選挙の守山市選挙区で県議選に挑戦し6000票近くをいただきながらも、東日本大震災直後の「声をあげられない選挙」で新人としては大変不利な中でおしくも落選。

しかし、その10月の守山市議選では女性仲間の手づくり選挙で見事トップ当選。それ以来、3年あまりの小川さんの市議としての活躍は目を見張るものがありました。全国各地に出かけての「町づくり」「子育て」「女性参画」「NPO運営」など、私自身は知事としてもいろいろ教えてもらいました。

また2012年4月から、「女性や若者、雇用者の政治参画をすすめよう」と嘉田が呼び掛けてはじめた「未来政治塾」では運営事務局長として、企画・広報、そして塾生との心のこもった丁寧な対話で、塾生からの信頼をつくりだし、見事な運営をしてくださいました。

2014年5月に、嘉田が知事を引退をして三日月知事誕生の母体となった「チームしが」の事務局次長として、三日月マニフェストづくりやチームしがの運営に深くかかわり、そのIT技術を駆使できる実務能力と、女性として、母親として、一生活者としての経験に基づいた社会的発言を続けております。

今、安倍政権は、成長戦略に「女性活躍」をあげておりますが、女性が子育てと仕事を両立できるような活躍には6つの壁があります。

「自分の意識」「配偶者の意識と家庭参画」「配偶者の親族の意識」「職場の意識」「職場がおかれた社会環境」、そして最後が法律や税制など「国家としての法制度」です。

一人の女性が子育てと仕事を両立させるためには、このすべての条件がうまく機能しないと壁が越えられません。

小川さんは自らが率先して仲間たちとこの6つの壁の厚さと重さを実感しながら、その持前の能力と努力とで切り拓いてきました。

小川さんのような、経験と実績のある女性が今日本に求められている女性参画社会を切り開き、世帯での単一納税や単一社会保障負担で細ってしまった国家財政の改善政策にも貢献してくれるものと期待をしております。